ちょっといい話

◆はるか
【最後の恋】


何の娯楽も無かった時代
村の小さな祭りの夜に
二人は出会いました。

若さ故の恋に落ち
程なく彼女のお腹には
小さな命が宿ります。

彼女は彼の元を去りました。
何故なら彼は前途有望な
若者だったから。

彼の将来の妨げに
なってはいけないと。
自分が身を引けば、
彼にはまばゆい未来が
開けるのだと。

彼女は心を決めたのです。


それから60年…
彼女は誰に添う事もなく
女手一つで娘を育てました。

そんなある日、
娘の前に一人の老紳士が
現れます。
垢抜けた品のいい老人です。

彼は懐から大事そうに
あるモノを取り出して
娘に尋ねました。


「栄子さんですか?」と。


娘が頷くと、老人は
ぽろぽろと涙を流しました。
見ると、老人の手に
握られたのは色褪せた
一枚の写真。
生後間もない赤子が
写っていました。


そして一言、


「お母さんは元気で
いらっしゃいますか」
と…。


<br>

9/13^11:37[編集]
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◆はるか


「後日談」


彼女は遠くを見ながら
時に少女のように
恥じらいながら
この話を聞かせてくれました


彼女は生涯
独りを貫く道を選び
彼もまた
彼女と別れた歳月
家庭というものを持たずに
独り身を通したそうです


たった一枚
幼子の面影だけを
握りしめて過ごした
彼の長き道のりは
一体どれ程のものだったのか

身を削られる思いで
彼の元を去った
彼女のこれまでの日々は…


「もう会うつもりはないのよ」


彼女は微笑んで言いました
しわくちゃになった目頭を
ゆびの先でちょっとだけ
拭いながら…





☆このお話は全て実話です

9/14^16:07[編集]

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